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鬼平犯科帳 鬼平罷り通る
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表には井戸があるようで、真新しいい竹が掛けられている。
荷綱を火打ち石の上の束柱に掛け、用意が整った時点で馬を寄せ付け、
縄を鞍に結わえ平蔵の合図を待った。
馬の鳴き声に中から男が出てきた、その驚きの声は平蔵によって
一撃で切り伏せられ、叫びにはならない。
平蔵素早く後方へ回りこみ合図を送る、
と同時に四名の馬が駈け出したからたまらない、
四方柱は大きな音を上げて引き倒され、
破れかかった壁が土埃をあげてのめるように倒れ始めた。
「それ!それ!それ!」四名が馬に鞭を入れて更に引く。
ドォと大きな音とともに簡素な屋根が重なりながら降り注いだ。
「ぎゃぁ・・・・・」
悲鳴があちこちで上がり、崩れた家屋の下からはい出てくるものもある。
それを平蔵刀の峯で打ち据え動きを封じる。
バラバラと四名が駆け寄り、四方を固める。土埃が止み、
暑い残照が五名の背中を囲む。
四名が中から這い出してきたが、すでに戦意喪失の体である。
「何名の者がおる?」
平蔵の問に
「だだだっ 誰でぃお前ぇは」
「火付盗賊改方長谷川平蔵だよ」
「なななっ 何だってぇこんなところに盗賊改めが・・・畜生!」
「一体ぇ何名で押し込みを働いた?お前を入れて五人、他には何人いるのだえ?」
「お頭を入れて八人、だけどお頭は見えねぇ、
下敷きになっちまったか、畜生め!」
それから半刻(一時間)経ったものの他には人の気配がない。
西の空は真っ赤に焼け、あっという間に帳が垂れ始めた。
「とりあえず此奴共を大楽寺町宝泉寺に仮置き致せ!
儂はこのまま此処に残り様子を見る、お前達はまず疲れを取り明日に備えてくれ」
平蔵は少し開けた場所に戸板を運ばせ、そこにもたれかかり見張ることにした。
それを見かねた佐嶋忠介が
「お頭、ここは私が詰めますゆえ、お頭はどうぞ寺で休息をお取りください」
と申し出たが
「儂は十分体を休めておる、それよりもお前達はゆっくり休め、
明日の探索に養生いたせ」
と聞き入れない。
こうして一夜は何事も起こらないままに白々と明けた。
早朝に四名の者が駆けつけ、熱い握り飯と香の物、
それに竹筒に水を入れて持参した。
平蔵これをゆるりと口に運びながら
「旨いなぁ・・・握り飯がこれほど旨いとは想わなんだ、
それでは残りのものを探索致すか」
平蔵立ち上がって倒れていない裏側に廻った。
どこかでうめき声がする様子に
「おい 誰かまだ生きておる様子だぜ、そこの柱の辺だ!」
小林金弥が梁を乗り越え中を覗いた。
「お頭三名の姿が見えます」
「何!三名だ?とにかくそいつらを助けださねばなるまい」
こうして二刻(四時間)ほどで三名の盗賊が救出された。
何れも骨折などで身動きがとれない状態であった。
「なんてひでぇことをしゃぁがるんで!」
中のひとりが叫んだ。
それを聞いた平蔵、その男の胸ぐらをひっつかみ
「皆殺しとどっちがひでぇって言うんだい、えっ!!
貴様達のやったことは閻魔様もお許しにゃぁなるめぇよ、
ところで頭ァどいつだい!」
じろりと睨んだ平蔵の形相に皆下を向いたままじっと床を睨んでいる。
荷綱を火打ち石の上の束柱に掛け、用意が整った時点で馬を寄せ付け、
縄を鞍に結わえ平蔵の合図を待った。
馬の鳴き声に中から男が出てきた、その驚きの声は平蔵によって
一撃で切り伏せられ、叫びにはならない。
平蔵素早く後方へ回りこみ合図を送る、
と同時に四名の馬が駈け出したからたまらない、
四方柱は大きな音を上げて引き倒され、
破れかかった壁が土埃をあげてのめるように倒れ始めた。
「それ!それ!それ!」四名が馬に鞭を入れて更に引く。
ドォと大きな音とともに簡素な屋根が重なりながら降り注いだ。
「ぎゃぁ・・・・・」
悲鳴があちこちで上がり、崩れた家屋の下からはい出てくるものもある。
それを平蔵刀の峯で打ち据え動きを封じる。
バラバラと四名が駆け寄り、四方を固める。土埃が止み、
暑い残照が五名の背中を囲む。
四名が中から這い出してきたが、すでに戦意喪失の体である。
「何名の者がおる?」
平蔵の問に
「だだだっ 誰でぃお前ぇは」
「火付盗賊改方長谷川平蔵だよ」
「なななっ 何だってぇこんなところに盗賊改めが・・・畜生!」
「一体ぇ何名で押し込みを働いた?お前を入れて五人、他には何人いるのだえ?」
「お頭を入れて八人、だけどお頭は見えねぇ、
下敷きになっちまったか、畜生め!」
それから半刻(一時間)経ったものの他には人の気配がない。
西の空は真っ赤に焼け、あっという間に帳が垂れ始めた。
「とりあえず此奴共を大楽寺町宝泉寺に仮置き致せ!
儂はこのまま此処に残り様子を見る、お前達はまず疲れを取り明日に備えてくれ」
平蔵は少し開けた場所に戸板を運ばせ、そこにもたれかかり見張ることにした。
それを見かねた佐嶋忠介が
「お頭、ここは私が詰めますゆえ、お頭はどうぞ寺で休息をお取りください」
と申し出たが
「儂は十分体を休めておる、それよりもお前達はゆっくり休め、
明日の探索に養生いたせ」
と聞き入れない。
こうして一夜は何事も起こらないままに白々と明けた。
早朝に四名の者が駆けつけ、熱い握り飯と香の物、
それに竹筒に水を入れて持参した。
平蔵これをゆるりと口に運びながら
「旨いなぁ・・・握り飯がこれほど旨いとは想わなんだ、
それでは残りのものを探索致すか」
平蔵立ち上がって倒れていない裏側に廻った。
どこかでうめき声がする様子に
「おい 誰かまだ生きておる様子だぜ、そこの柱の辺だ!」
小林金弥が梁を乗り越え中を覗いた。
「お頭三名の姿が見えます」
「何!三名だ?とにかくそいつらを助けださねばなるまい」
こうして二刻(四時間)ほどで三名の盗賊が救出された。
何れも骨折などで身動きがとれない状態であった。
「なんてひでぇことをしゃぁがるんで!」
中のひとりが叫んだ。
それを聞いた平蔵、その男の胸ぐらをひっつかみ
「皆殺しとどっちがひでぇって言うんだい、えっ!!
貴様達のやったことは閻魔様もお許しにゃぁなるめぇよ、
ところで頭ァどいつだい!」
じろりと睨んだ平蔵の形相に皆下を向いたままじっと床を睨んでいる。